進学先の学校選びにおいて、卒業生の就職実績を重要なファクターと考える人は少なくありません。これは美容専門学校に進学する場合も同様です。学校側が就職実績として公表する情報のうち、とくに注目されることが多い項目は「就職率」ですが、この数値はどのように算出され、進学先選びではどのように見ていけばよいのでしょうか。
就職率の定義と計算方法はとてもシンプル
就職率は文字通り、就職をするに至った人の割合を数値であらわしたもので、高校や大学、専門学校などへ進学する場合に学校の実績を評価する指標の一つとしてよく用いられます。計算方法はシンプルで、対象とする集団の人数から就職に成功した人で割るだけで、結果に100を掛ければ百分率で表現できます。
就職率の計算において重要なのは、なんといっても対象とする集団と就職成功者のカウントの仕方です。東京の美容専門学校の多くが公表している就職率の定義は、文部科学省が実施している「大学等卒業者の就職状況調査」で用いられている定義に準じています。
この調査では卒業する年度中に就活を行い、卒業した後すみやかに就職することを希望している人の数が分母、最終的に正規の従業員として就職した人の数が分子です。パンフレットや公式Webサイトでとくに断りなく就職率の語が使われている場合は、この定義で計算されたと考えても問題ありません。
東京の美容専門学校が公表している就職率が高い理由
東京の美容専門学校のパンフレットや公式Webサイトの紹介を見ると、どこも就職率が非常に高いことがわかります。中にはほぼ100パーセントに近い割合になっていて、就職を希望する卒業生がほぼ全員卒業後に職に就くことに成功していることが伺える美容専門学校も存在します。
東京の美容専門学校の就職率が高いのは、卒業時点で一定以上のスキルレベルに達しているのが保証されていることだけでなく、学校と美容業界の間に強いパイプがあり、進路指導が細かく行われていることも理由です。一般の大学にもキャリアセンターがありますが、学生数に対して配置されている職員が少なく、ひとりひとりに指導できる仕組みが整っているとはいえません。
これに対して、多くの美容専門学校は就職指導専門のスタッフやキャリアカウンセラーを複数配置しており、就職に関する基本的な相談から採用選考に落ちてしまった学生のフォローまできちんと対応します。学校によっては、卒業後も仕事先の変更や別の業界への転職などを考えている場合にスタッフが相談にのってくれます。この面倒見のよさも、専門学校の大きな魅力といえます。
就職率を見る際には数字に踊らされないように注意しよう
美容専門学校の就職率を見る際には、数字に過度に踊らされないように注意しなければなりません。政府の大学等卒業者の就職状況調査の定義に準じた計算方法では、就職を希望して実際に就活をはじめたものの、何らかの事情で断念した人や、卒業後すぐに自分で店をはじめた人など統計の対象から外れてしまう人がいるため、実態より少し高めの数値が出る可能性があります。
就職成功者の割合を評価するときは、計算に使用したデータを確認し、実態が反映されているかどうかを判断することが重要です。そして、当然のことではありますが、美容専門学校の良し悪しは就職率の高低だけで決まるものではないということを頭に入れておく必要があります。
他校と比べて就職に成功した人の割合が低くても、講師陣の質が高い点や、キャンパス内の設備が充実している点などで人気がある美容専門学校はたくさん存在します。志望する美容専門学校は、数値以外の部分もきちんと評価した上で決めましょう。
就職率は、卒業年度の学生のうち就職を希望する人の数に対する就職成功者の割合をあらわしたもので、一般的に百分率であらわされます。美容専門学校の就職率は進路指導のきめ細やかさなどから、多くの学校でかなり高い数値となっていますが、就活を途中でやめた人など統計から外れている者もいるため、就職の実態が全部反映されているとは限りません。就職率の評価は、元のデータも確認した上で行うことが重要です。