エステサロンやなどの開業スタイルにはいくつかの種類があり、最近増えているのは自宅の一部を利用した「自宅サロン」です。プライベートサロンやおうちサロンとも呼ばれ、比較的手軽に始められることから人気となっています。しかし、さまざまなトラブルが隠れている場合も少なくありません。事前に確認しておきたい注意点をご紹介します。
賃貸物件でサロンを営業するなら許可が必要
エステサロンやネイルサロンなどは、大掛かりな設備を必要としないため、少人数ならマンションの一室でも十分営業できます。しかし、マンションなどの賃貸物件で営業する場合は、その物件が「専用住宅」か「併用住宅」なのかということを必ず確認しましょう。
専用住宅は基本的に居住することを目的とされており、併用住宅は店舗や事務所などの営利目的での使用も可能となっているものです。併用住宅であっても、事務所や営業所はいいが、頻繁に人が出入りする店舗はダメということも多いので、賃貸契約の内容の確認し、必ず管理会社や大家さんに相談して、必要に応じた手続きを行うようにしましょう。
無許可で営業するとどうなるの?
万が一、管理会社や大家さんに許可をもらわずに営業すると以下のような問題が生じる可能性があります。
賃貸借契約違反
居住用として契約しているにもかかわらずサロンを営業してしまうと、従来の使用目的とは異なるとして、契約違反に問われることがあります。場合によっては退去を求められることもあるので、サロンを始めるときは営利目的での使用が可能かを確認し、管理会社や大家さんに使用目的の変更をお願いしましょう。
消費税法上の問題
居住用として契約している場合は賃料などに消費税はかかりませんが、サロンのように事業用として借りる場合には消費税が課税されます。無許可で営業していたことが発覚すれば、不足している納税分を支払うことになります。
消防法上の問題
サロンなどの店舗を開業する場合、使用の開始前までに、その地域を管轄する消防署へ「防火対象物使用開始届出書」を提出する必要があります。マンションの多くは居住を目的としているため、消防法上の建物設備要件を満たしていないことも多いので注意が必要です。
建築基準法上の問題
エステサロンなどの「物品販売業を営む店舗以外の店舗」は、居住用の住居とは異なる建築基準のうえで内装などの条件をクリアする必要があります。建築基準法の適合は判断が難しいので、管理会社や大家さんに相談しましょう。
購入したマンションでの開業も要注意
賃貸ではなく、購入したマンションでもサロンなどを営業するときは注意が必要です。マンションの管理組合は入居者のルールとして管理規約などを定めており、その多くは国土交通省が発表している「マンション標準管理規約」をもとに作成されています。
その中で、「専用部分の用途」や「共同の利益に反する行為」についての規定が定められている場合は、それに従わなくてはなりません。そのため、管理規約をよく読んで理解しておくことが大切です。
マンションでのサロン開業はトラブルが多い
マンションでサロンを開業する場合、起きやすいトラブルをご紹介します。
賃貸物件で許可をとらず内装工事をした
賃貸物件の持ち主は、あくまでも大家さんです。消防法や建築基準法の適用目的であっても、勝手な内装の変更などはトラブルの原因となり、原状回復や退去を求められるケースもあります。
不特定多数の人が出入りする
マンションなどは共同住宅であり、基本的に住人以外の第三者の出入りは認められていないことも多く、あまり好まれません。サロンの営業により、出入りが増えれば周囲からのクレームは発生しやすくなります。
まとめ
自宅サロンは、開業する側にとってさまざまなメリットがあり、お客様にとっても落ち着けるプライベート空間になり魅力的でしょう。しかし、きちんとした手続きをしないまま始めてしまうと、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。中には無許可で営業しているところもあるようですが、看板が出せないなどで十分な宣伝ができず、満足な集客が得られないことも考えられます。きちんと手続きして、気持ちよくスタートしましょう。