理容師や美容師になるためには、理容師美容師国家試験に合格していなければいけません。この試験は毎年開催されており、多くの人が受験しています。
令和初の試験では、理容師試験を532人、美容師試験を2,982人が受けていて、合格率はそれぞれ65%、58.1%だったそうです。今回の記事では、美容師試験の内容や難易度、受けるための条件などについて詳しく紹介しましょう。
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美容師国家の内容と試験を受ける条件
まずは美容師国家の内容と美容師国家試験を受けるための条件について紹介します。
美容師国家試験の内容
美容師国家試験には、試験を受けるための条件があります。理容師や美容師の養成施設を卒業していることが条件となっており、卒業証明書や卒業見込み証明書が必要となるので、誰でも受けられる試験ではありません。
試験の内容は筆記試験と実技試験があり、両方の試験に合格することで、美容師として就労できる資格を得られます。筆記試験の内容は、8つの分野にわかれているようです。
美容師に関連した法令や制度についての問題、公衆衛生や環境衛生に関する問題、感染症の知識、美容室の衛生管理に関しての知識、人間の体の構造、皮膚の構造、美容に関する知識、美容理論などが出題されています。実技試験では、ウィッグを用いて、カットやセットの技術を確認するのです。
試験中は、指定されたスタイルが完成できているかという点だけでなく、道具の使い方なども細かくチェックされています。さらに、身だしなみも重要なので気をつけましょう。
緊張して道具を落としてしまう人もいるようです。落ち着いて臨めるように練習しておきたいですね。
○試験は年2回
一年の間に2回行われています。
2月試験は合格率が高い傾向にあり、8月試験は合格率が低い傾向にあります。
専門学校の卒業生が2月試験を受験するので、合格率が上がっているのではないかと考えられます。
○実技試験の採点はこまかい
専門学校では国家試験対策の授業も行っているため、万全の対策でのぞむ人が多いということですね。試験そのものの難易度は2月も8月も変わりません。
筆記試験は50問のうち60パーセントに正解すればよく、実技試験は減点方式で採点されます。受験者や道具の衛生状態も評価の対象であり、実技試験の採点はかなり細かいです。
美容師国家試験を受けるには
先ほども美容師国家試験を受けるための条件に触れましたが、より詳しく見ていきます。美容師国家試験は、公益財団法人理容師美容師試験研修センターが行っています。
○平成10年4月1日以降に入学した人の場合
美容師養成施設で、昼間課程2年以上、夜間課程2年以上、通信課程3年以上を修了していなければなりません。
○これから美容専門学校の志望校選びをする人は平成10年4月1日以降の入学ですので、
昼間課程・夜間課程2年以上か通信課程3年以上を修了していなければ受験できません。
○平成10年3月31日以前に入学した人については、
昼間課程1年以上、夜間課程1年4ヵ月以上、通信課程2年以上の課程を修了した後に1年間の実地修練を経た人でも受験できます。
美容専門学校で国家資格を取得する
美容師などの美容関連の国家資格を取得したいならばやはり美容専門学校に入るのが一番です。美容専門学校では国家資格対策もカリキュラムに取り入れられている専攻もあり、国家資格対策も授業を受けていれば自然と出来ます。
特に国家資格によっては美容専門学校に入って学ぶことが受験資格として求められているところもあるのです。
〇どのくらい試験対策をしてくれるか
とはいえ、美容専門学校に入ったからといって必ずしも国家資格が取れるというわけではありません。卒業することで自動的に国家資格がもらえることもありますが、基本的に国家資格を取るには試験を受けて合格しないといけません。
このため、どのくらい試験対策をしてくれるかも美容専門学校を選ぶ際にはチェックしておきたいところなのです。
〇入学者の中でどのくらいの人が国家資格を取得しているか
例えば、入学者の中でどのくらいの人が国家資格を取得しているか調べてみると良いでしょう。こうすることでどのくらい本気で国家資格対策をしてくれるのかもわかります。
とはいえ、もしも国家資格対策が不十分な美容専門学校に入ってしまった場合には資格予備校に通うという対策も可能なことも覚えておきましょう。
〇すべての国家資格が取れるわけではない
また、技能士などの国家資格は実務経験も必要となってきます。このため、すべての国家資格が美容専門学校に入ったからといって取れるわけではないことは理解しておきましょう。
場合によっては試験に合格できずに国家資格が取れないこともありますが、その際には次年度は無料で学べて再び試験を受けられるような美容専門学校もあります。こうした制度がある美容専門学校もこれから美容専門学校を選ぶ際には見ておくと良いでしょう。
実際に国家資格を取れないと卒業しても仕事につけない可能性も大いにあります。こうなるとせっかく美容専門学校で学んでも意味がありませんから、試験対策はしっかりとしておきたいところです。
試験対策はなるべく早く始めるに越したことはありませんから、試験が卒業時にあるという場合でも試験対策は入学と同時に始めておくと安心できるでしょう。
美容専門学校を選ぶときは国家試験対策以外にも就職対策も要チェック
国家試験を経ないと仕事ができない場合には国家試験対策がどのくらい充実しているかどうか調べておくのは大事です。これ以外にも就職対策もどのくらい充実しているかは確認しておくと良いでしょう。
実際、就職対策は美容専門学校によってピンからキリまで差があり、全く就職対策をしてくれない美容専門学校もあります。就職対策も進路相談から始まって面接対策までいろいろとありますが、こうしたことは資料請求時の資料には掲載されていないこともあります。
そのため、実際に学校に電話して聞いてみたり、在校生の声を参考にしてみることがおすすめです。就職対策を全くしていない美容専門学校もありますが、この際には就職対策に時間を取られてしまって国家試験対策や勉強に身が入らないこともあります。
逆に、就職対策が充実していれば就職もしやすくなって勉強により集中できるようにもなってくるのです。特に就職に不安がある人は就職対策をチェックしてみると良いでしょう。
美容師国家試験の難易度は?
美容師国家試験では、筆記試験と実技試験があります。筆記試験では、50問中6割正解しなければ合格できません。さらに各項目で無得点があると6割正解でも不合格となってしまうので、注意が必要です。
50問中6割正解でよいので、比較的合格率は高いといわれています。実技試験に関しては、減点された点数で合格できるかが決まるようです。
合格基準は、衛生上の取扱試験で減点が20点以下であること、基礎的技術試験の第1課題で減点が30点以下、第2課題で減点が40点以下であることとされています。実技試験は持ち物も多くなるので、忘れ物をしないように注意しましょう。
実技課題は試験案内が発表される際に、指定されます。筆記試験より実技試験のほうが難しいといわれていますが、しっかり練習し落ち着いて取り組めば合格できるようです。
美容師国家試験の合格率は?
美容師国家試験の合格率はどれくらいなのでしょうか。過去の合格人数もあわせて確認してみましょう。
・第40回美容師国家試験…受験者数5134人、合格者数2,982人、合格率58.1%
・第39回美容師国家試験…受験者数18521人、合格者数15956人、合格率86.2%
・第38回美容師国家試験…受験者数5076人、合格者数2,565人、合格率50.5%
・第37回美容師国家試験…受験者数18,219人、合格者数15,635人、合格率85.8%
美容師国家資格は年2回開催されているのですが、開催時期によって合格率が異なることがわかります。2月に行われている試験では合格率が80%を超えていますが、8月の試験では50~60%となっているため、2月のほうが受かりやすいのかな?と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。
いずれにしても過去の合格率をさかのぼっていくと、50%以上の人が合格していることがほとんどでしたので、美容師国家試験の合格率は56パーセントから85パーセント程度を推移しています。そのため、美容師国家試験の合格率は高めの試験といえそうです。
美容師専門学校を卒業して理容師国家試験も受けられる?
簡単に表現すると、美容師はパーマをかけることができます。理容師は顔をそることができます。
美容師が仕事で顔をそってはいけませんし、理容師はパーマをかけられません。不便ですよね。
そこで、両方とも資格を取りたいという選択肢があります。美容専門学校を卒業すると、美容師国家試験の受験資格を得ることができますが、専門学校によっては理容師の受験資格も得ることが可能という学校もあります。
どこが違うのでしょうか。
○違い
美容師国家試験の受験資格には美容師養成施設で2年間の課程を修了する必要がありましたよね?理容師も同じで理容師養成施設で2年間の課程を修了する必要があります。
単純に合計すると4年間になってしまいますが、昼間部と通信課程を組み合わせれば4年もかかりませんね。理容師と美容師の資格は現在別物ですが、両方ともほしいという人にとっては法律の改正がうれしいニュースかもしれません。
2016年から、理容師と美容師、それぞれ片方の資格を持っている人はもう片方も取りやすくしようという動きが始まっています。2018年春から新しい方針に従った教育課程が出てきていますので、現在美容師免許を持っているが理容師もほしい、理容師免許を持っていて美容師免許もほしい という人はぜひチェックしてみてくださいね。
他の資格も取りたい
美容専門学校を卒業しなくても受験できるネイル関連の資格にはもちろんチャレンジできますし、まつ毛エクステンション技能検定試験の1級、2級は美容専門学校に在籍しているか、卒業しているか、美容師免許を持っていなければ受験できません。かつてまつ毛エクステはサロンが乱立し、その質が問われたことがありました。
受験資格に美容師免許や、美容専門学校に在籍または卒業していることが入っているのは、まつ毛エクステの質を維持し、事故が起こってはいけないという配慮かもしれませんね。
まとめ
美容師国家試験は難しいのか、試験内容やどれくらいの合格率なのかを紹介しました。試験を受けるためには、養成学校を卒業していなければいけないという条件がありますので、美容師を目指したいという人は、まず養成学校探しから行ってくださいね。
卒業しておりこれから勉強するという人は、学校の勉強のおさらいや過去の問題集なども活用し、合格を目指しましょう。