美容室や理容室は街中にたくさんあり、そこで働く人のことを美容師や理容師と呼びますが、詳しい違いを理解している方は少ないのではないでしょうか。どちらも有資格者でないとなれない職業ですが、両方の資格を習得すダブルライセンスという選択肢もあります。そこで本記事では、美容師と理容師の違い、ダブルライセンスについて解説します。
美容師と理容師の違い
美容師は美容師法において「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」と定められています。そのため、カットやパーマ、カラーなどヘアサロンで行っているサービスを始めとして、まつ毛エクステやまつ毛パーマ、ヘアメイク、ヘアセットなども仕事内容に含まれます。つまり、美容師が提供できるサービスを通じて、顧客の美をサポートする仕事だといえるでしょう。
一方、理容師は「頭髪の刈込、顔そり等の方法により、容姿を整えること」と理容師法で定められています。カットやパーマ、カラーなどは共通して提供でき、シェービングは理容師にしか提供できないサービスです。ただし、まつ毛エクステやまつ毛パーマ、ヘアセット、ヘアメイクなどは仕事内容に含まれずません。
つまり、顧客の容姿をきれいに整えることは理容師の仕事だといえます。似ているようですが、サービスを提供する目的が異なるためできる仕事内容にも違いがあります。また、必要な国家資格や働く場所にも違いがあるので、違いを知ったうえでどちらを目指すか決めることが重要です。
美容師と理容師のダブルライセンスとは
理容師と美容師の両方の資格を取得することを「ダブルライセンス」といいます。2018年の法改正以降、ダブルライセンスを取得方法が変更されました。従来は2つの専門学校を卒業し、さらに2回も国家試験に通過する必要がありましたが、2018年以降はどちらかの資格を取得していれば、昼間または夜間の課程を1年間受講することで、もう一つの資格を取得できるようになったのです。
つまり、最短3年でダブルライセンスを取得が可能になり、ダブルライセンスを目指しやすい環境になったといえるでしょう。また、期間が短縮されたのに加え、取得にかかる手間や費用負担も軽減されたのが特徴です。さらに、法改正以降、1つの専門学校で2つの資格を取得できるダブルライセンスコースを設置するところも増えたので、より目指しやすい環境になっています。
ダブルライセンス取得のメリット
ダブルライセンスを取得することの最大のメリットは、理容師と美容師の両方の知識を有し、幅広い業務内容をこなせることです。理容室や美容室はもちろん、シェービングサロンやヘアメイクサロン、アイラッシュサロンなど、さまざまな職場で働ける選択肢が広がります。また、経験を積んで独立開業する場合も、複数のサービスを一つのサロンで提供できるようになることは、大きな強みになるでしょう。
また2018年の法改正以降、店舗スタッフの全員がダブルライセンスを取得していることを条件に、美容業と理容業の両方を一つの場所で提供することが許可されています。ダブルライセンスを取得している人材は限られているので、そのようなサロンで働けるとキャリアアップにもなるでしょう。
まとめ
理容師と美容師の両方の資格を所有していることをダブルライセンスといいます。現在では最短3年で取得可能となっていますが、まだまだ取得している人が少ないので、貴重な人材として就職に有利になる可能性があります。また、職場が限定されずにさまざまな場所で経験を積めることは、将来のキャリアアップや独立開業にも役立つでしょう。ゆくゆくは自分の店舗を持ちたい、有名なヘアメイクアップアーティストとして活躍したいなどの目標がある方は、ダブルライセンスも一つの選択肢として検討してみるのがおすすめです。